2019年9月27日金曜日

『老犬たちの涙』を上梓しました


殺処分問題の取材を始めた1997年から現在に至るまで、愛する家族に捨てられ、行政施設に収容された老犬たちの哀しい瞳に、幾度となく出会ってきました。
動物愛護法の改正などを受けて、犬の殺処分数は減少傾向にありますが、いまだ年間8,711もの尊い命が絶たれています。

人なつこく健康な子犬や若い犬と比べて、老犬の多くは“譲渡先”が見つかりにくく、収容されたが最後、真っ先に“殺処分”対象とされてしまうのが日本の現状です。運良く殺処分を免れたとしても、長年ともに暮らしてきた家族との別れは、老犬の心に深い哀しみと喪失感をもたらします。

昨今の少子高齢化・核家族化の影響によって、高齢になってから子犬を飼い始めたお年寄りが、自らの病気・入院・施設入所・死去などを機に、老犬の世話や介護をしきれなくなり、飼育放棄するケースが全国で頻発しています。
そのほか、看取り拒否、介護放棄、引っ越しなど、様々な理由で行政施設に持ち込まれ、または遺棄され、殺処分される老犬が、あとを絶ちません。

そんな残酷な現実を目の当たりにするたびに、自分の無力さを痛感してきました。

飼い主を信じ、飼い主を愛し、飼い主の幸せを願いながら十数年間、
ただひたむきに生きてきた老犬たちは、なぜ、捨てられなければならなかったのか。
どうすればこの子たちが捨てられない社会をつくれるのか。
不幸な老犬を減らすために、私にできることは何なのか。

……絶望と憤りと自問自答を繰り返しながら、全国各地の行政施設に収容された老犬たちの姿を撮影し、命の現場で奔走する職員さんやボランティアさんたちの声をお聞きしてきました。

そしてこのたび、私にできるメッセージ発信の方法として、写真ルポルタージュ「老犬たちの涙~“いのち”と“こころ”を守る14の方法~」(KADOKAWA刊)を上梓いたしました。



『ひとりの意識が変われば、ひとつの命が救われる』―そのことを、これまで22年間の活動の中で実感してきました。

この本を通じて、1人でも多くの方の心に、捨てられた老犬たちの現実と、彼らの想いが届きますように。そして、彼らの尊い命と心が守られ、救われるきっかけとなれますように。
……そう心から願い、祈っています。

全国の書店にて、9月27日(本日)発売です。
楽天ブックス↓などネット書店でも取り扱っています。
https://books.rakuten.co.jp/rb/16019389/
みなさまにもぜひ、お手にとっていただけたら幸いです。
そして、人間の言葉を話せない老犬たちの代弁者となって、この哀しい現実を、老犬たちの命と心の守り方を、周りの方たちにも伝えていっていただけたら嬉しいです。

この場をお借りして、心よりお願い申し上げます。

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